吉川 純一先生への追悼文
さる平成28年6月22日に日本心臓病学会名誉会員 吉川純一先生が逝去されました。
会員を代表して、謹んで哀悼の意を表します。
1970年、坂本二哉先生を中心とする創立メンバーにより日本心臓病学会の前身となる臨床心音図研究会が設立されて以来、吉川先生は坂本先生と共に我が国における臨床心臓病の発展に尽力してこられました。
その後、超音波を用いた多くの仕事をされるとともに、日本心臓病学会の設立・運営に尽力され、1987年から1989年まで幹事、1989年から2006年まで理事をお勤めになられました。その間、1991年には第39回学術集会の会長を、また1995年から1998年には理事長を勤められ本学会の発展に寄与されてきました。
吉川先生の日本心臓病学会に対する数多くの貢献の中でもひときわ大きなことは、Journal of Cardiologyの副編集長そして編集長として、坂本先生とともに数多くの論文を指導され、多くの研究者を育成され、いまのJCにつながる学会誌の基礎を盤石とされたことです。学会に対する数多くの功績を讃えて、2005年には日本心臓病学会栄誉賞を授与されておられます。
2014年の第62回学術集会「臨床の達人に聞く:進歩する心臓病研究・医療の中で聴診・心エコー図をいかに活かすか」では、Physical Examinationの重要性を基調にした講演をされたことが会員にとっては印象的でした。
臨床を重要視し、多くの循環器医を育てられ、本学会のあるべき姿を示された吉川先生が逝去されたことは我々会員にとっては誠に寂しい限りですが、先生の臨床心臓病に対する思いを大切にし、ますます日本心臓病学会を発展させることを誓って、追悼の言葉とさせていただきます。
一般社団法人 日本心臓病学会
代表理事 平山 篤志