栄誉賞
学会のアクティビティのひとつとして、対象となる研究領域の進歩と発展に多大の貢献をなした業績を顕彰し、その栄誉を称えるとともに広く国の内外に知らしめることも重要な役割である。
特に専門知識のない素人が見たり聞いたりして判るような業績であれば、また有名な研究者の業績であれば、多くの人々が何らかの形で顕彰することは容易であろう。
しかし、専門的な領域でこつこつと積み上げられて来られた業績、あるいは市井にあって、日常の診療の中から工夫、考案されて積み上げられた功績などは、ときとして、あまり身近すぎてその業績の貢献の大きさを見失ってしまうこともある。
学会としては、研究発表の場で華々しく公表された業績のみではなく、むしろこのような、ある意味では隠れた業績をも大切にこれを顕彰することが必要である。
そこで、平成を期して「栄誉賞」制度を設けて顕彰することとした。(「20年のあゆみ」より)
受賞者一覧(1989年〜)
| 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 | 2009 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 | 2002 | 2001 | 2000 | 1997 | 1994 | 1992 | 1991 | 1990 | 1989 |
2024年度 | 筒井 裕之(国際医療福祉大学 副学長・副大学院長・医学部 教授) 本格的な心不全患者を対象とした多施設共同登録観察研究を主導し、日本の心不全疫学研究の基盤を確立した。さらに国内外の心不全臨床試験への取り組みにより多くの心不全標準治療薬の臨床現場への導入に貢献し、心不全診療に大きな影響を与えた。加えて心不全療養指導士制度の創設にも尽力し、多くの心不全療養指導士が誕生している。 |
2023年度 | ⽊村 剛(国家公務員共済組合連合会 枚⽅公済病院 病院⻑) 冠動脈インターベンションにおける臨床研究に力を注ぎ、数多くの論文を輩出された。1996年には循環器臨床において初めてN Engl J Medに論文が掲載されている。その後も多くの無作為化試験を主導し、世界の冠動脈インターベンション治療に大きなインパクトを与えている。 |
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2022年度 | 丹羽 公⼀郎(聖路加国際病院 心血管センター / 千葉市立海浜病院循環器内科 / 千葉県循環器病センター成人先天性心疾患診療部) 循環器⼩児科学の分野で研鑽を積まれ、成⼈先天性⼼疾患であるFallot 四徴症術後の⼤動脈拡⼤(Aortopathy)の研究は、現在も成⼈先天性⼼疾患領域の最も重要な論⽂⼀つとして位置づけられている。⻑きにわたり⽇本成⼈先天性⼼疾患学会の設⽴と学術活動、教育、社会活動に尽⼒され、我が国における成⼈先天性⼼疾患診療の礎を築いた。 |
2021年度 | 磯部 光章(榊原記念病院 院長、東京医科歯科大学名誉教授) 心臓移植後の治療により免疫寛容が誘導されることを発見し、心臓拒絶反応について世界をリードする研究を行った。心臓移植委員会では心臓移植や人工心臓の臨床応用の制度設計に尽力するとともに、高齢者心不全の診療ガイドブックや多数のガイドラインの作成を主導、循環器病対策基本法の成立にも貢献した。 |
2020年度 | 水野 杏一(公益財団法人 三越厚生事業団・常務理事、日本医科大学名誉教授) 血管内視鏡をはじめとする血管内画像診断研究のパイオニアとして、現在普及しているカテーテル開発に尽力し、急性冠症候群がプラーク破綻と血栓形成により生じることを血管内視鏡を用いて生体で初めて確認した。さらに我が国の多施設共同研究の先駆けとなるMEGA studyでは冠動脈疾患予防における脂質管理の重要性に大きなインパクトを与え、臨床心臓病学の発展に大きく寄与した。 |
2019年度 | 小川 久雄(国立循環器病研究センター 理事長) 25年の長きに亘り、我が国の循環器領域における多施設共同無作為化比較試験に取り組んだ。国内外の学会で発表されたその成果は、日本のみならず海外のガイドラインにも数多く引用され、臨床心臓病学の進歩に大きく寄与した。 |
2018年度 | 髙本 眞一(東京大学名誉教授、日本心臓血管外科手術データベース機構) 心臓血管外科手術中の脳虚血を防ぐ術式となる「髙本式逆行性脳循環法」を開発し、弓部大動脈瘤手術の成功率を飛躍的に高めた。 また日本心臓血管外科学会 理事長、日本心臓病学会 理事、ヨーロッパ心臓胸部外科学会理事、アメリカ胸部外科学会理事、アジア心臓血管外科胸部外科学会理事長など国内外多数の心臓関連学会の要職を務め、世界の心臓外科学の発展に大きく貢献した。 |
2017年度 | 北村 惣一郎(国立循環器病研究センター 名誉総長、循環器病研究振興財団 理事長) 小児の冠動脈バイパス術を世界に先駆けて開始し、長期にわたり内胸動脈の使用が患児にとって有用であることを初めて報告し、心臓外科領域において小児冠動脈再建手術という新しい領域を確立した。川崎病のみならず先天性複雑心疾患術後の冠動脈合併症に対しても標準術式として世界に普及し多くの患児の治療に貢献した。 |
2016年度 | 三田村 秀雄(国家公務員共済組合連合会立川病院) 体外式自動除細動器(AED)の必要性を早期から認識し、関連学会、厚生労働省、国会議員、マスコミ等に働きかけ、その普及に尽力した。現在では、日本は世界に類をみないAED大国となり、数多くの突然死に至る人命の救済につながっている。 |
2015年度 | 川崎 富作(日本川崎病研究センター) 多くの乳児の熱性疾患の中から特徴的な症状を呈する疾患群「川崎病」を発⾒し、世界に初めて報告した。川崎病の⼼血管合併症は、小児だけではなく、今後成⼈人期にも⼤きな問題となると予想されている。その後も、川崎病の心⾎管合併症の分野での研究において常に世界をリードし、多大な貢献をしている。 |
2014年度 | 鄭 忠和(和温療法研究所) 世界に先駆けて心機能の総合指標であるTei indexを開発し、臨床心臓病学の発展に大きく貢献した。また心不全に対する非侵襲性治療としての和温療法を開発、我が国の臨床研究の高さを世界に示した。 |
2013年度 | 佐藤 光 世界に先駆けてTakotsubo心筋症を報告、新たな疾患概念を確立した。 その後も本症の診断と治療、さらに病態について大規模な疫学的研究を行い我が国の臨床研究の高さを世界に示した。 |
2012年度 | 小川 聡(国際医療福祉大学三田病院) 世界に先駆けて 虚血性心疾患に伴う心室性不整脈の病態を詳細に解明し、臨床不整脈の電気生理学的検査を開発した。さらに、抗不整脈薬をその薬理作用に基づいて分類し、いかに適正使用するかを本邦のみならず世界に広く普及し、臨床心臓病学の進歩に大きな貢献を果たした。 |
2011年度 | 松﨑 益德(山口大学) 世界に先駆けて独自に経食道心エコー法を開発し,今日の臨床心臓病学において欠くべからざる検査法に発展した経食道心エコー法の基礎を築いた.さらに動脈硬化の超音波画像診断や心不全の病態解明において優れた研究を行い,臨床心臓病学の進歩に大きく寄与した. |
2010年度 | 須磨 久善(財団法人心臓血管研究所) 世界に先駆けて冠動脈バイパス術に胃大網動脈グラフトを導入し、その世界的普及に尽力した。さらに、MIDCABとバチスタ手術を本邦へ導入し、低侵襲心拍動下冠動脈バイパス術と重症心不全に対する左室縮小形成術の新分野を開拓、我が国の臨床心臓病学の進歩に寄与した。 |
2009年度 | 山口 徹(虎ノ門病院) 本邦の心臓病学の発展に大きく寄与し、特に心エコー図学および心臓カテーテル検査法・治療法の発展への貢献は、内外で高く評価されている。また後継者育成に尽力されるとともに、当学会創立以来、中心的な存在として活躍され、第四代理事長、第46回学術集会会長を務められ会の発展にも大きな足跡を残した。 |
2008年度 | 延吉 正清(社会保険小倉記念病院) 本邦の心臓疾患に対するカ テーテル検査および治療の黎明期より、情熱を持ってその発展に取り組まれた。特に心血管インターベンション治療のパイオニアとしての貢献は、内外で高く評価されている。ライブデモンストレーションを通じてインターベンション治療の普及と指導に尽力し多くの後継者を育成したことは、わが国の臨床心臓病学の進歩に大きな貢献を果たした。 |
2007年度 | 松田 暉(大阪大学名誉教授) 臓器移植法制定後第一例目の心臓移植をはじめとして、本邦の心臓移植医療の発展に尽くした。また重症心不全に対する弁形成術や左室補助循環の積極的な導入など心臓病学の発展に大きな貢献を果たした。 |
2006年度 | 北畠 顕(北海道大学名誉教授) 三十年度あまりの長きにわたり心不全研究に取り組み、世界に先駆けてドップラー法を用いた拡張機能計測法を発案した。その後も心不全研究の発展に積極的に寄与し、細胞分子レベルの解析から臨床へとつながる研究に優れた業績を残したことは、我が国の心不全研究に大きく貢献した。 |
2005年度 | 吉川 純一(大阪掖済会病院院長) 臨床心臓病学、特に心エコー図学の発展に多大な貢献をされ、我が国がこの領域で世界のリーダーシップを取る原動力となった。また本学会にも創生期より参加し、理事長、会長、JC編集長として大きな足跡を残された。 |
2004年度 | 泰江 弘文(熊本加齢医学研究所) 異型狭心症が冠攣縮によることを立証し、カルシウム拮抗薬が極めて有効であることを示した。さらにその後の研究を通じ、冠攣縮性狭心症の概念を心臓病学において確立、世界の心臓病研究に偉大な貢献をした。 |
2003年度 | 中村 芳郎(慶應義塾大学老年度科前教授) 冠血流動態の研究分野で指導者として活躍、また臨床心音図研究会設立に尽力、さらに当会第二代理事長として学会の基盤作りに多大な貢献をした功績 |
2002年度 | 加藤 裕久(久留米大学) 川崎病研究とくに冠動脈病変の研究において常に世界をリードし、多くの患児の命を救い、多大な貢献をした功績 |
2001年度 | 山口 洋(新東京病院) 冠状動脈造影法を駆使して臨床心臓病学の発展に寄与し、多くの優れた臨床医・研究医の育成に貢献した功績 |
松尾 裕英(香川医科大学) 超音波心臓病学の発展に貢献し、多数の優れた臨床医と研究家の育成に寄与した功績 |
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2000年度 | 田中 元直(結核予防会宮城県支部) 超音波医学および心音図学研究を通じて内外における学問的発展に寄与した功績 |
尾本 良三(埼玉医科大学) 心エコー図学を通じて外科学と内科学の交流に尽力し、カラードップラー法の世界的普及、殊にその外科的応用に関して高く評価された功績 |
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1997年度 | 坂本 二哉(半蔵門病院) 日本心臓病学会を創設し、機関誌の発行に多大な貢献をした。心尖部肥大型心筋症を記載、各種のグラフ診断学を開拓した。さらに、世界心機図学会、アジア・太平洋ドップラー心エコー図学会、日本心エコー図学会を設立、海外活動を行うとともに国内に多くの後継者を育成した功績 |
町井 潔(聖路加国際病院) 日本心臓病学会を創設し、本邦における各種循環器検査法発展の指導者として君臨、殊に心音図、ME関係、自動診断装置の開発および超音波心臓病学の発展に貢献した功績 |
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1994年度 | 仁村 泰治(国立循環器病センター) 30有余年度にわたる超音波心臓病学への貢献と発展に寄与した功績 |
1992年度 | 古田 昭一(三井記念病院) 日本心臓病学会を創設し、内科と外科における心臓病学の隆盛に寄与した功績 |
1991年度 | 久永 光造(名古屋大学) 世界初の経食道高速断層撮影装置を開発した功績 |
1990年度 | 滑川 孝六(アロカ株式会社) 世界初の超音波カラードップラー法を考案し、その発展に寄与した功績 |
1989年度 | 井上 寛治(武田病院) 世界最初のバルーンバルブロプラスティーによる弁膜症治療に関する功績 |